脈拍が速いと早死にするという説は本当か?頻脈は心房細動リスク増
脈拍=心拍数が速い人は早死にする──。こんな“説”を耳にしたことがあるのではないでしょうか。厳密には、心拍数は心臓が一定時間内(1分間)に拍動する回数、脈拍は体内の各血管が一定時間内(1分間)に拍動する回数を指しますが、同じ意味として考えます。
哺乳類は、一生の間で心臓が拍動する回数が決まっているといわれていて、東京工業大学名誉教授で生物学者の本川達雄さんは、著書の中で「哺乳類ではどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打つ」と紹介しています。その伝で言うと、脈拍が速い人はそれだけ早く亡くなり、遅い人は逆に長生きするということになります。
たしかに、1分間の心拍数が450~550回と多いハツカネズミは寿命が1年半~2年と短命です。同じく、ウサギは150~280回で3~4年、ネコは120~180回で10~15年、イヌは60~180回で13年前後となっています。一方、心拍数が30回程度と少ないゾウの寿命は70~80年と長生きすることが知られています。
われわれヒトの心拍数は安静時で1分間に60~70回、世界全体の平均寿命は73.3歳です。「1分間で70回、生涯で20億回」を当てはめて計算すると54.3年になってずれがありますが、この数字は終戦直後の日本人の平均寿命と同じくらいといわれています。