若年性認知症の介護者が高齢の親の場合に生じる問題は?
自分たちだけで悩まないためにも、全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会など、若年性認知症を専門とする団体に連絡し、近くの家族会を紹介してもらうといいでしょう。そこで他の介護者とわが子の認知症の現状や悩みをオープンにすると、他の介護者が実際に有効だった症状への対応法などを共有してくれると思います。
本人にとっても有益です。認知症の発症により社会参加の頻度が減少し、自宅で過ごす時間が増えていくと症状を悪化させます。家族会などで当事者同士が会話をしたりレクリエーションなどの社会的活動を行うと、気持ちが落ち着いて徘徊などの頻度を減らす可能性が高いので、積極的に参加することをお勧めします。
また、親は自分が亡くなった後のわが子の生活を考えて、かかりつけ医に今後の症状の進行や予後について聞いておき、心配であれば成年後見制度や民事信託の利用を検討するのもいいでしょう。
さらに、万が一に備えて早めに地域包括支援センターや若年性認知症支援コーディネーターに相談し、事前に介護に関する希望(施設入所などのついのすみか)を伝えておくといいでしょう。
▽宮永和夫(みやなが・かずお)1975年群馬大学医学部卒業、98年同大学保健管理センター助教授、07年南魚沼市立ゆきぐに大和病院院長を経て、22年南魚沼市立ゆきぐに大和病院認知症疾患医療センター長を務める。