「難聴」は動脈硬化性の心臓病とも深く関係している
音が聞こえにくくなる「難聴」は、高齢になると多く見られる耳の障害ですが、じつは心臓病とも深く関係しています。
富山大学の研究では、狭心症や心筋梗塞といった心臓血管疾患の既往のある高齢者は、難聴のリスクが約2倍に増加すると報告されています。
われわれの耳は、外耳、中耳、内耳に分かれていて、音は外耳から入って鼓膜を振動させ、耳小骨で増幅されて内耳に伝えられます。続いて内耳の蝸牛にある有毛細胞で感知された後、聴神経から大脳に伝達されて処理され、音として認識されます。
難聴はこれらの経路のどこかに障害が起こって生じる症状で、外耳から中耳までの経路に障害があるものを「伝音難聴」、内耳から聴覚中枢に至るまでの経路に障害があるものを「感音難聴」、両方が混在したものを「混合難聴」と呼びます。年をとって耳が遠くなる加齢性難聴、近年増加している突発性難聴やヘッドホン難聴は、感音難聴に該当します。
狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性の心臓病があると、全身の血流が悪化します。当然、内耳や脳の血流も悪くなるため、音の感知能力や認識能力が低下して難聴が起こると推察されているのです。