著者のコラム一覧
荒井宏幸クイーンズ・アイ・クリニック院長

クイーンズ・アイ・クリニック院長。医学博士・眼科専門医。医療法人社団ライト理事長。みなとみらいアイクリニック主任執刀医。防衛医科大学校非常勤講師。

初期から老眼鏡をかけっぱなしにすると「老眼」が早く進む

公開日: 更新日:

 先日、知り合いからこんな質問がありました。

「いったん老眼鏡をかけると、どんどん老眼が進行するというのは本当ですか」

 そうですね……。30%ぐらいは当たっている、といったところでしょうか。まず知っておいていただきたいのは、老眼鏡をかける、かけないにかかわらず、老眼とは進行していくものなのです。

 45歳ごろから、10年ほどは進行し続けます。老眼の原因である水晶体は、赤ちゃんの頃はグミのようにしなやかで弾力性がある。ところが加齢で水晶体の水分が減少し、どんどん硬くなることで老眼になっていきます。水晶体は10年ほどで硬くなりきりますので、老眼の進行もだいたい60歳程度までとなります。

 老眼が始まっているのになにも対策をせずに裸眼で小さな文字を見る。それは、目の筋肉を必要以上に頑張って使っている状態。老眼鏡をかけることで、この筋肉が緩み、ふわーっと楽に見えるようになります。

 人間の脳は楽な状態を覚えるようにできているので、小さな文字を見る際には「老眼鏡をかけて」と脳が命令するようになる。そうすると老眼鏡をかけずにはいられなくなるんですね。楽なほうがいいと、近くのものを見る時にはかならず老眼鏡をかけるようになってしまうのです。

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