陽子線でがんを狙い撃つ(1)従来の放射線の効果を上回る

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 ただIMRTにも限界がある。X線の性質上、線量のピークは皮膚面から数センチの深さ。それを過ぎると線量が落ちるので多方面から照射する。「がんには高線量、正常組織には低線量」とはいえ、がん周辺の正常組織の損傷は免れない。

「進行肺がんに対して、X線の線量による生存率を比較した研究があります。当初は線量を増加した方が治療成績が向上するとみられていたのですが、結果は線量が高い方が生存率が低かった。両群とも肺の障害には差がなかった。一方、線量が高い群では肺に近い心臓が損傷をより受けており、その心障害で生存率が下がったと考えられています」

 そこで登場したのが、陽子線治療だ。日本では1979年に放射線医学総合研究所、1983年に筑波大学で臨床研究が開始され、1998年に国立がん研究センター東病院に世界で2番目となる医療専用陽子線施設が導入された。 (つづく)

※今年新たに保険適用となったのが、早期肺がんで手術不能のもの。他に頭頚部では咽喉頭・口腔扁平上皮がん以外、膵がん、肝細胞がんなどがある。ただし「手術が困難」など条件に該当する場合に限る。

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