先天性心疾患は大人になってから再手術が必要になるケースが多い
ただ、中には定期的な通院を中断してしまう患者さんもいます。日常生活に支障がなかったり、転居がきっかけで受診しなくなるケースが少なくないのです。小児で先天性心疾患の手術を受けた後、定期的な通院が必要なくなるケースは、動脈管開存症、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症の患者さんで、術後に一定期間通院して、担当医から「治りましたよ。もう通院しなくても問題ありません」と言われた患者さんだけと考えていいでしょう。
一方、担当医から定期的な通院を指示されているのに行かなくなった患者さんや、何らかの症状があるのに通わなくなってしまった患者さんは、再手術の的確なタイミングを逃すリスクがあり、いずれどこかのタイミングで心事故が起こる可能性が高いといえます。該当する人はあらためて定期的に診察を受けることをおすすめします。
また、先ほど触れたように小児で先天性心疾患の手術を受けて、「もう治りましたよ」と言われた患者さんでも、年齢を重ねた頃に今度は生活習慣病が原因になる動脈硬化性の心臓病を発症するケースがあります。
そういった“新たな”心臓病を予防するためにも、先天性心疾患が治ったからもう大丈夫だと過信することなく、日頃から医療情報を気にかけて、医療の進歩について知識を蓄えておくことが大切です。