先天性心疾患は大人になってから再手術が必要になるケースが多い
生まれつき心臓や血管に異常があって、その働きが障害される病気を「先天性心疾患」と呼びます。遺伝とはほとんど関係がなく、日本では年間約1万人の新生児が先天性心疾患を抱えて誕生しています。
先天性心疾患はたくさんの種類があり、比較的頻度の多いものは、「心室中隔欠損症」(心臓の左心室と右心室の仕切りに穴が開いている)、「心房中隔欠損症」(左心房と右心房の間の仕切りに穴が開いている)、「肺動脈狭窄症」(心臓と肺をつなぐ肺動脈が狭くなっている)、「動脈管開存症」(生まれてすぐに閉じるはずの動脈管が開いたままになっている)、「ファロー四徴症」(心室中隔欠損症、肺動脈狭窄症、大動脈騎乗、右心室肥大の4つが合併している)といった病気です。
これらのような先天性心疾患は、自然経過で治療をしないで治るものもありますが、手術が必要になるケースも少なくありません。かつては、新生児期、乳児期、幼児早期に行われる手術の成績は悪く、亡くなるケースも多くありました。しかし近年は、薬物治療や補足的な手術を実施して、ある程度まで成長を待ち、体重が8~10キロ以上と安全性が高くなってから手術を行うステージドオペレーション(段階的治療)が確立され、最終的には正常な心臓に近い機能を取り戻すことができるようになりました。