著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「オピオイド」は死期が近いケースで使われる…は大きな誤解

公開日: 更新日:

「麻薬」と聞くと、なんとなく悪いもののようなイメージがありますよね? 世界保健機関(WHO)は麻薬を「昏迷・昏睡、痛みに対する無感覚を誘発する化学物質」と定義しており、医療で用いられる麻薬は主に鎮痛作用を目的としています。

 一方、法律上規制されている他の薬物も含めて麻薬という言葉が使われることもあるため、医療では麻薬性鎮痛薬やそれに構造が類似している合成鎮痛薬などを「オピオイド」と呼び、一般的に使われる言葉としての麻薬とは区別しています。

 オピオイドは、脳や脊髄、末梢神経に存在するオピオイド受容体に結合して、作用を発揮します。オピオイド受容体は痛みに大きく関係しているため、オピオイドは強い鎮痛作用を持っています。内臓痛や体動時痛などに用いられる一方、神経が傷つくことで起こるピリピリするような痛みには効果が期待できません。

 オピオイドの代表的な副作用として、便秘、吐き気、そして眠気が挙げられます。便秘や吐き気に対しては、下剤や吐き気止めといった対策ができます。眠気にはオピオイドの用量を減らすなどの対策が可能ですが、それまで痛みにより十分な睡眠をとれていなかったのが、痛みがとれたことで眠気が起こるという面もあるため、評価が難しいところでもあります。ただ、日常生活に支障を来すほどの眠気だとやはり問題なので、その場合には対処を考慮します。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…