中日ドラ3桂依央利を支えた“女手ひとつ”母の愛情弁当
「高校、大学に行って野球もやるとなると、私ひとりでは正直言って経済的に大変です。野球に打ち込むなら寮生活が一番なんでしょうけど、娘も2人いるから息子にだけお金をかけられない。高校も大学も自宅通いで行くことにしました。高校3年で進路を決めるときも、大学に行くか、社会人に行くかで話し合いましたね」(きくみさん)
桂は推薦枠があった大商大への進学を希望、「学費は自分が払う」と約束した。すぐさま奨学金を借りる手続きをした。自宅通いは寮生活よりも移動時間などに時間が取られる。ハンディがあったに違いないが、それでも4年間で大学球界屈指の捕手に成長した。
そんな桂の支えになっていたのが、母のお弁当だった。高校、大学の7年間、朝起きると、まだ温かさの残る弁当が用意されていた。
「大学には学食もある。周りに弁当を持ってくる友達もいなかったでしょうから、どうかなっていうのもあったんです。でも、息子が『弁当でいいよ』って言うんで、持たせてましたね」(きくみさん)
10月のドラフトで、中日から指名された。きくみさんは喜びと同時に安心もしたという。