ソフトバンク1位指名・加治屋蓮が乗り越えた「母の不幸」
■ゲームよりカブトムシ
「1位指名なんて想像もしていませんでしたからね。今でも朝起きたら、『これ夢じゃないやろね?』という感じですよ。(ドラフト直後の)3、4日間は、自分が事故にあって見ている夢じゃないか、なんて思ってましたから」
ソフトバンクのドラ1投手・加治屋蓮(22)の父・博樹さん(43)がこう言って苦笑いする。
宮崎県の最南端に位置する串間市は、東部は日向灘、南部は志布志湾に面する。東西を山に挟まれ、中央を流れる川から水を引いた水田が一面に広がる町で加治屋は生まれた。
「川に行って泳いだり、魚を釣ったり、川エビを捕ったり。カブト虫やクワガタもよく捕りましたね。ゲームセンターもなかったもんで、中学校でも友達と遊ぶ時はサッカーとか野球とか……とにかく体を動かしていました」(加治屋)
「家でゲームなどはしていませんでした。僕らが小さい頃と同じですよ。真っ黒になるまで外で遊んで、日が暮れると帰ってきて……」とは父の博樹さんだ。