東京五輪追加種目 「若者へのアピール」に透ける組織委の思惑
お代官様に媚を売る悪徳商人――時代劇でよく見る構図と、根っこは同じだ。
20年東京五輪の大会組織委員会が28日に発表した追加種目候補は5競技18種目。国内で人気のある野球・ソフトボール、日本発祥で世界中に普及している空手は、当初から選ばれるとみられていたが、意外と言わざるを得ないのがローラースポーツ(スケートボード)、サーフィン、スポーツクライミングだ。
この5競技は、来年8月にリオデジャネイロで行われるIOC(国際オリンピック委員会)総会を経て決定されることになっているが、スケボー、サーフィン、スポーツクライミングはまだまだマイナーな競技。組織委の種目追加検討会議の御手洗冨士夫座長(名誉会長)は選考理由について、「若者へのアピールと、日本を盛り上げられる競技かどうかで決めた」と話した。重要なのは前者だろう。
若者のスポーツ離れに頭を抱えているIOCの意向に沿うことで、日本の「信頼」を回復させようという腹積もりなのだ。
というのも、東京五輪は招致の段階からして醜聞続き。13年のIOC総会で安倍首相が福島の原発問題を「アンダーコントロール」と言ったウソはすぐにバレた。ムチャな構造設計がたたった新国立競技場の建設は遅々として進まず、コンパクトが売り物だった各競技場は当初の「選手村から8キロ圏内」を守れず、関東各地に散らばった。揚げ句の果てには五輪エンブレムの盗用問題が噴出。すったもんだの末、一度決まったデザインを取り下げるなど、これでもかと醜態をさらし続けている。