掛布二軍監督退任騒動の“元凶”はフロントの調整力のなさ
■「派閥でいえば主流派」
掛布二軍監督はドラフト6位入団ながら、本塁打王を3回獲得した苦労人です。「ミスタータイガース」と呼ばれ、ファンからの支持も絶大なものがあります。
阪神がリーグ優勝した03年オフ、星野仙一さんが監督を辞めなかったら、正式にコーチとして招聘していたかもしれません。当時のオーナーは掛布に好感を持っていませんでしたけど、星野さんはオーナーがノーと言っている人でも呼べましたから。そのオーナーもいまはいません。
それに掛布二軍監督は、いまのタイガースのフロントの派閥でいえば主流派です。招聘する土壌が整って、ようやく正式なスタッフとして加えることができた。その手法はともかく、若手を育てる能力があることも実証されました。なのに、たった2年で放り出す結果になってしまったのは残念でなりません。こうなる前にフロントはどうして手が打てなかったのでしょうか。
坂井オーナーが「超変革」を金本監督に一任している以上、フロントは金本監督を全力でサポートすべきです。金本監督の意思を尊重して掛布二軍監督を解任したような捉え方をされていますけど、それでは本当の意味でバックアップしたことにはなりません。そもそも掛布を二軍監督に据えたのは金本監督の意向だと聞きました。だったら、なおさらフロントは掛布二軍監督を生かす方法を模索すべきだったのに、それをやる技量も度量もなかったとしか思えないのです。