プロ野球キャンプに重圧…集団感染が五輪中止の決定打に
こんな状況で本当にやれるのか。
プロ野球などのキャンプ地である沖縄県は19日、コロナの感染拡大を踏まえ、県独自の緊急事態宣言を発出した。同じキャンプ地の宮崎県もすでに独自の宣言を出している。2月1日からスタートするプロ野球のキャンプは両県の要望により、少なくとも宣言期間中(~2月7日)は無観客で開催されることが決定した。
各球団は週1回程度の定期的なPCR検査を実施し、自治体と綿密な連携を取るなど、万全なコロナ対策を行うという。とはいえ、全国的にコロナが猛威を振るう中、特定の地域に大人数の選手、関係者が集まり、長期間にわたって活動する以上、無事に完走できる保証はどこにもない。
さるキャンプ地の自治体関係者が言う。
「沖縄や宮崎にとって、経済的なメリットが大きいキャンプは是が非でも開催してもらいたい。ただ、問題は集団感染が起きたケースです。両県とも病院の病床数は東京などの大都市より少ない。ただでさえ地元住民の感染者が増えている中で、果たして、対応しきれるのかどうかという懸念はあります」
■他競技イベントへの影響
実はプロ野球キャンプの成否が、東京五輪の開催可否に影響するとの指摘がある。昨年以来、プロ、アマのスポーツイベントが続々と中止に追い込まれる中、昨年6月に無観客で開幕したプロ野球は、「東京五輪開催のモデルケース」と言われた。時に感染者を出しつつもシーズンを完遂したことで、IOCのバッハ会長は昨年11月に来日した際に、プロ野球などを例に挙げ、「日本では安全なスポーツイベントが成功裏に行われている」と高く評価していた。
先日、プロ野球、Jリーグによる「コロナ対策会議」の専門家チームの舘田一博氏(東邦大教授)も、「NPBとJリーグがやれないとなれば、東京五輪・パラリンピックなんて、とてもじゃないけどできない。手本となるようなシーズンにならないと」と発言している。
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は、「キャンプでしっかり準備をし、滞りなく公式戦をやらないと、経営的に成り立たないのは理解できますが……」と前置きしたうえで、こう続ける。
「いくらコロナ対策を講じたとしても、大勢の選手、関係者がキャンプ地へ集団で移動し、滞在する。仮に感染者が出るなど、コロナによる諸問題が起きた場合、五輪や他競技のスポーツイベントにも影響が及ぶのは必至です。政府は先日、コロナの水際対策として外国人の新規入国を禁止にし、スポーツ選手の入国特例も凍結した。日本国内だけで完結するキャンプでさえままならないとなれば、感染対策の観点から、外国から選手を呼ぶことはもちろん、合宿や試合を開催することは難しくなるでしょう。まして1万人以上の参加者がいる五輪など、到底、不可能です」