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西村徳文野球解説者

1960年1月9日、宮崎県生まれ。右投げ両打ち。福島高(宮崎)、国鉄鹿児島鉄道管理局を経て、81年ドラフト5位でロッテ入団。プロ通算16年で首位打者1回、盗塁王4回。二塁と外野でそれぞれベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。97年現役引退後、ロッテでヘッドコーチなどを歴任し2010年監督就任。1年目にリーグ3位から日本一を達成した。16年からオリックスでヘッドコーチ、19年から監督を務め、昨季限りで退団。

金田正一さんのキャンプ初練習は異例の「早朝早歩き30分」

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 とはいえ、自分から音を上げるわけにはいかなかった。金田さんはマスコミを通じて、練習についていけない選手は、「投球も打撃もさせない。守備練習も参加させない」と話していたし、私自身、選手会長を任されていたこともあった。

 打撃、守備などを含め、すべての練習を終えて家に帰り、ほっとするのも束の間、翌日の練習のことが頭に浮かんできて、ため息をつく日々だった。

 鹿児島キャンプでは初日からクタクタだった。

 朝8時に集合し、まずは散歩からスタート。散歩といっても、ただ歩くのではない。陸上競技場で芝生の上を約30分間、競歩の選手のようにひたすら早歩きし続けた。

 そこから全体練習、個別練習をするのだから、大変だ。

 朝の散歩はシーズン中に入っても続いた。遠征先でのナイターの際、必ず朝10時に集合し、約30分ほどかけて宿舎周辺を早歩き。夏場は多少、時間が短縮されるけれど、朝から汗だくである。

 金田さんは現役時代から体のことには、ことさら気を使っていた。投手には「肩を冷やすな」と言っていたし、私のような野手に対しても「足を冷やさないよう、靴下をはいて寝なさい」と話していた。

 宿舎の食事にもこだわりがあった。鍋が出る回数が増えたり、コックに長さ30~40センチほどの特製巨大卵焼きを作ってもらい、「西村、うまいから食え」と勧められた。

 たばこにも口うるさく、コーチ陣は頭を抱えていた。 =つづく

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