巨人原監督の「後継者争い」勃発 その気になる阿部&桑田両コーチと裏に控える“本命候補”
次期監督争いが始まった。
巨人は18日に2022年春季キャンプと対外試合の日程を発表した。今季は借金1の3位に沈んだだけに、阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(42)は秋季練習終了後、「若手への宿題? ない。もう言った。やらない選手はやらない。やる選手はやるでいい」とキッパリ。2月のキャンプについては「ある投手に、キャンプで翌日起きるのが怖かったという日はあるか? くたくたになったことあるか? と聞いたら『ない』と言っていた。だから覚悟しておいてくれと言った」と「地獄のキャンプ」になることを予告していた。
すると、今度は桑田真澄投手チーフコーチ(53)が「勝つには投球だけじゃなく、守備も打撃もバントも走塁も全部大事。できることは何でも鍛えていく」と投手陣の総合力を上げる方針を明かした上で、キャンプではベテランも特別扱いはしないと明言。年齢も実績も問わないとし、来年36歳になる井納、同じく35歳になる山口らも例外ではなく、全員に同じ練習を課すというから、こちらも負けじと“地獄”をアピールした格好だ。
■いつの間にか「6人」に増えたワケ
2人のチーフコーチはいずれも新たに3年契約を結び直した原辰徳監督(63)の後継者候補と目される。特に阿部コーチは「ポスト原」の最右翼だったはずが、ここにきて事情が変わってきた。原監督は「Number Web」のインタビューで「後継者は必ず出てくると思うし、出てこなくちゃいけないと思います。それが慎之助なのか、あるいは元木なのか、あるいは桑田なのか……それとも二岡なのか、駒田なのか、川相なのか……。1つだけ確実に言えることは、誰とも約束は何もないということです」と二岡智宏二軍監督(45)、駒田徳広三軍監督(59)、川相昌弘ファーム総監督(57)まで含めた6人もの名前を挙げたから大変だ。さる球界関係者がこう言う。
「2年前、現役を続けられるはずだった阿部が原監督に指導者転身を打診されて現役引退。次期監督の最有力候補として修業するべく、二軍監督を2年間務めた。それなのに、ここにきて、『次の監督になるとは限らない』『横一線』と言われたようなものだから、内心焦っているでしょう。キャンプの練習メニューは例年、コーチ陣が考案する。元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(49)は昨年もヘッドだったから、役職としてはほぼ変わっていないが、阿部、桑田の2人は新たにチーフコーチに就任。チーム再建策を考えるのは当然として、原監督や球団にアピールしないといけない立場になった。今回の2人の地獄キャンプ予告は、その一環かもしれません。そのためにしごかれ、利用される選手はたまったもんじゃないだろうが、次期監督選びはもう始まっているのです」
「どこかのタイミングでリベンジ」
今春は主力やベテラン中心の「S班」が東京ドームと沖縄でスタート。独自調整が認められていた。これまでのキャンプでは何かと特別扱いされることが多かったが、チーフコーチのアピール合戦に巻き込まれたようなものではないか。
が、話はそこで終わらない。「阿部を含めたその6人以外に、球団の“本命”がいます」と前出の関係者がこう続けるのだ。
「16年から3年間、監督を務めた現・球団特別顧問の高橋由伸氏(46)です。この時はチームが下り坂で、巨人選手が起こした野球賭博事件もあって、世間から球団に厳しい目が向けられていた。現役を引退したばかりだった由伸氏も明らかに準備不足だったが、『クリーンなイメージ』が優先され、球団が半ば無理やりバトンを渡したことで3年連続V逸。13連敗もあってチームはボロボロになってしまい、結局は三たび原監督を招かざるを得なくなった。親会社の読売にも球団にも、由伸氏のキャリアに傷をつけてしまったことを申し訳なく思っている首脳が多く、事あるごとに『どこかのタイミングでリベンジさせたい』と言っています。原監督も最初は2年務め、2年空けて就任した第2次政権は10年間に及びました」
巨人の今村司球団社長は昨年春の日刊ゲンダイのインタビューで、こう語っていた。
「(巨人の次期監督については)原監督が阿部君に現役を諦めてもらって二軍監督に据えたのは、早く指導者になれということ。これから適性を見ていくと思います。全てはタイミング。阿部君だけじゃなく、松井(秀喜)君、そして由伸君に可能性があります」
それから2シーズンが経過。阿部コーチの「適性」を見た上で、原監督と球団の構想に変化が生じたのだとしたら、現段階の本命は「前監督」に移行したと見るのが自然である。