カブス誠也が5.4からWソックスと2連戦 ファン喧嘩、選手乱闘…シカゴのライバル“抗争”の歴史
日本人ルーキーがデビューして間もなく1カ月。鈴木のカブスは日本の大型連休中、ホワイトソックス(日本時間4、5日)と対戦する。
同じイリノイ州シカゴ市に本拠を構えるホワイトソックスとは浅からぬ因縁がある。
ア・ナでリーグが異なるだけに、チーム状況に応じて互いの戦力を融通し合うことも。昨年7月末には、カブスがメジャーを代表する守護神クレイグ・キンブレルをホワイトソックスにトレードするなど、主なものだけでも、これまで5件の移籍を成立させた。互いに協調関係を築いているが、過去にはグラウンド内外で「抗争」を繰り広げた。
両軍によるインターリーグは風の街にちなんで「ウインディー・シティー・シリーズ」と言われ、地元ファンによる盛り上がりを見せる。2019年7月6日、ホ軍の本拠地ギャランティード・レート・フィールドでの一戦では、ファン同士による小競り合いが殴り合いのケンカに発展。周囲の客からは飲食物が飛び交うなど、スタンドは一時騒然となり、球場警備員の仲裁で収束した。
スタンドの熱狂に呼応するようにグラウンドレベルでも、両軍が火花を散らせており、何かと諍いは絶えない。
有名なのは06年5月20日、ホ軍の本拠地USセルラーフィールド(当時)での乱闘劇だ。当時、メジャーの嫌われ者だったホ軍のピアジンスキー捕手が三塁からタッチアップした際、カ軍のバレット捕手に体当たり。これに激怒したバレットがベンチに下がろうとするピアジンスキーをつかまえて殴りかかり、両軍総出の大乱闘に発展した。当事者2人を含む両軍合わせて4人が退場処分となり、後にバレットはMLBから10試合の出場停止の厳罰が下された。この騒動は両軍だけでなく、メジャーの歴史に残る大乱闘のひとつに数えられている。
球場の広告などを巡れ地元企業の争奪戦に
ホワイトソックスが「ウインディー・シティー・シリーズ」で70勝64敗と勝ち越しているのは、人気や伝統ではかなわないカブスへの対抗心もあるからだといわれる。
フロント同士の場外戦も行われてきた。現在の2リーグ制が確立された1900年代初頭には選手の引き抜きが頻繁に行われた。当時、ア・リーグに加盟した各球団によるナ・リーグの選手の引き抜きが横行。当時のホ軍オーナーであるチャールズ・コミスキーは札束をちらつかせてナ・リーグの選手を買い漁り、カブスの主力選手もこぞって獲得したという。
球団ビジネスでも対立を繰り返してきた。長らく球場の広告などを巡って地元企業の争奪戦を展開しているという。
ホ軍の指揮を執るラルーサ監督(77)はア・ナ両リーグでワールドシリーズ制覇を成し遂げた名将のひとり。理論派として知られる半面、時には報復死球も辞さない激情型でもある。昨季はエンゼルス・大谷翔平も死球の仕返しにぶつけられたように、鈴木も老将からターゲットにされかねない。