週末オススメ本ミシュラン
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『筑紫哲也「NEWS23」とその時代』金平茂紀著/講談社
筑紫ファンにとっては、たまらない本である。往時のアルバムを見るように、筑紫のさまざまな表情が映し出されている。 ただ、著者が身近にいたが故に、筑紫との距離がうまく取れていない感じもある。端的…
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「超ファシリテーション力」平石直之著/アスコム
「猛獣使い」とも評される、テレビ朝日・平石直之アナウンサーが書いた「いかにして場を円滑に回していくか」の極意を描く本である。同氏は、各界の論客や話題の人々、炎上の渦中にいる人などが登場する報道番組「A…
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「大下流国家『オワコン日本』の現在地」三浦展著/光文社新書/2021年
資本主義社会における国力を測る上で最も重要なのは経済力だ。少子化が日本経済停滞の原因であるという見方は正しくない。韓国は日本以上の少子化社会であるが、経済は着実に成長している。既に購買力平価に換算し…
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「出る杭の世直し白書」鳩山由紀夫、孫崎享、前川喜平、植草一秀著/ビジネス社
本書は、鳩山友紀夫、孫崎享、前川喜平、植草一秀の対談をまとめたものだ。私は、4人とも直接、話をしたことがあるのだが、とても優秀で切れ味鋭い論客だ。ところが、彼らはあまりテレビ番組に出てこない。その理…
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「2050年のジャーナリスト」下山進著/毎日新聞出版
どこよりも早く報道することを競う日本の新聞の前うち主義を批判するこの本を読みながら、城山三郎の次の発言を思い出した。 「新聞は原則として夕方まで読まないようにしているんです。読むと腹が立つこと…
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「同調圧力の正体」太田肇著/PHP新書
新型コロナ騒動により、日本人の「同調圧力」の強さを思い知った人も多いだろう。各国はロックダウンやマスク着用を義務化。外に出たら罰金やムチ打ち刑に。豪州では、マスク非着用の人間には大勢の警官が寄ってき…
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「ひとの住処 1964―2020」隈研吾著/新潮新書/2020年
去年、上梓された本であるが、東京オリンピック・パラリンピック2020を総括する上で不可欠の作品だ。本書は、新国立競技場を設計した隈研吾氏による自伝的文明論だ。 隈氏は1964年の東京オリンピ…
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「『日本型格差社会』からの脱却」岩田規久男著/光文社新書
著者は、第2次安倍政権で日銀の副総裁を務めた。日銀の量的金融緩和は、総裁の名前を採って「黒田バズーカ」と呼ばれるが、その理論的バックグラウンドをつくったのは間違いなく著者だ。著者は、かなり昔から孤軍…
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「魂を撮ろう」石井妙子著/文藝春秋
水俣病の闇は深い。それに、どこから、どう光を当てるか。著者はMINAMATAの写真を撮ったユージン・スミスの若き妻、アイリーンを“発見”した。正式の名前はアイリーン・美緒子・スプレイグ。伝説のフォト…
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「無理ゲー社会」橘玲著/小学館新書
「言ってはいけない―残酷すぎる真実―」(新潮新書)や「上級国民/下級国民」(小学館新書)など、データを駆使して救いようのない現実をこれでもか、と見せつける橘氏の新刊である。 今回も「無理ゲー社…
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「権力は腐敗する」前川喜平著/毎日新聞出版
文部科学省で官僚のトップである事務次官をつとめた前川喜平氏による安倍晋三前政権と菅義偉現政権に対する厳しい批判本だ。 <かつて、腐敗した権力は革命や戦争といった暴力でしか打倒できなかった。代議…
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「ドムドムの逆襲」藤﨑忍著/ダイヤモンド社
今年最速の短時間で読了した。中身が薄いわけではない。構成がしっかりしていて、文章に無駄がなく、論理的だからだ。 著者は、短大卒で39歳まで専業主婦をしていた。しかし家計を支える必要が生まれて…
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「この国のかたちを見つめ直す」加藤陽子著/毎日新聞出版
東大教授の加藤に、じょっぱり(津軽弁で強情っ張り)だった歌手の淡谷のり子を連想すると言ったら、加藤は苦笑するだろうか。 こんな逸話がある。テイチクのディレクターから、「星の流れに」をどうかと…
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「ゼロコロナという病」藤井聡・木村盛世著/産経セレクト
新型コロナウイルスの陽性者については、東京で1日5000人を超えるなど猛威を振るっていると報道されるが、振り返ると昨年4月の第1回緊急事態宣言の際の東京の陽性者数は約50人だった。 その10…
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「ドストエフスキー 黒い言葉」亀山郁夫著/集英社新書
今年はロシアの文豪ドストエフスキーの生誕200年にあたる特別の年だ。わが国におけるドストエフスキー研究と翻訳の第一人者である亀山郁夫氏(名古屋外国語大学学長)が素晴らしい作品を上梓した。 亀…
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「完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦」 古谷敏/やくみつる/佐々木徹著/集英社新書
テレビ番組の放送から半世紀以上経つというのに、ウルトラマンの人気は衰えない。それどころか、世代を超えてファン層を広げている。なぜそこまでウルトラマンが人気なのか。その謎を解くために、これまで数多くの…
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「さよならテレビ」阿武野勝彦著/平凡社新書
東海テレビのドキュメンタリーにはハッとさせられてきた。たとえば「死刑弁護人」であり、「ヤクザと憲法」である。ドキッとさせられたと言ってもいい。そのプロデューサー欄には、いつも、阿武野の名前があった。…
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「ミャンマー危機 選択を迫られる日本」永杉豊著/扶桑社新書
今年2月にクーデターを起こし、以後反対のデモを行う市民への弾圧をするミャンマー軍。多数の死者が出ているが、一体なぜこのような事態に陥ったのか。そして、実は日本にもミャンマーのクーデターは大きな影響を…
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「霞が関のリアル」NHK取材班/岩波書店
日本の若手エリートの質が悪くなっていることが、NHK取材班の意図とは異なる面で見えてくる。例えば、東大法学部から国家公務員試験総合職(区分は不明)にトップで合格した青年の話だ。 <官僚は最初の…
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「気がつけば警備員になっていた。」堀田孝之著/笠倉出版社
本書は、著者自身の警備員経験を描くドキュメントだ。警備員はよく目にする仕事だが、勤務実態はあまり知られていない。私もそうだったから、25時間連続勤務、1日の歩行距離が10キロといったこと自体に驚いた…