週末オススメ本ミシュラン
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「チャイナ・アセアンの衝撃」邉見伸弘著/日経BP
今から10年も経たないうちに中国のGDPが世界一になるだろう。そう言うと、「中国の統計は信用できないから、意味がない」という人がたくさんいる。日本人には、中国を見下している人が多いようだ。私自身は、…
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「コロナ時代のパンセ」辺見庸著/毎日新聞出版
コロナ禍で消毒を求められる。それを拒否するほどの“勇気”もないから、手指を洗い、うがいをする。 しかし、本来は毒というものは生きていく上で必要なものではないのか。それを消してしまって、あるい…
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喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書読売新聞政治部著/新潮社/1650円
表紙にドカーンと菅氏が出ており、このタイトルと合わせると菅氏がこれまでにいかにして喧嘩をしまくって相手を屈服させ続けて総理にまで上り詰めたのか、といったことが書かれていると思うかもしれない。 …
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「特務 日本のインテリジェンス・コミュニティの歴史」リチャード・J・サミュエルズ著/日本経済新聞出版
稀に見るお粗末な本だ。本書を翻訳した小谷賢氏(日本大学危機管理学部教授)の名誉のために述べておくが、翻訳は正確で読みやすい。しかし、内容が酷い。 本書を読んで、太平洋戦争敗北以前の日本のイン…
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「いちばんたいせつなもの」斎藤貴男著/おとないちあき・イラスト 新日本出版社
斎藤貴男氏は、私が最も敬愛するジャーナリストだ。膨大な資料を読み漁り、インタビューを重ねることで、隠された真実を暴き、権力者を真っ向から批判する。テレビから干されても、裁判で訴えられても、彼のスタン…
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「新宗教の現在」いのうえせつこ著/花伝社
もちろん、だましたヤツが悪いのである。しかし、だまされた側がそう言っているだけでは、また、だまされてしまう。 信じるということは、相手に自分を預けてしまうことだと私は思っている。「信じること…
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「宇宙の奇跡を科学する」本間希樹著/扶桑社新書/860円+税
史上初のブラックホールの撮影に成功した国立天文台教授が宇宙・ブラックホール・撮影に至るまでを描く。理系の頭良過ぎる人の書く文章を読み続けるのは久しぶりだったが、妙な感覚に襲われた。 哲学書を…
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「非常識に生きる」堀江貴文著/小学館集英社プロダクション
この本は、一見、非常識な生き方を勧めるような印象の構成になっているが、内容は指導者に必要とされるヒトとモノとの付き合い方についての定石が記されている。 ヒトとの付き合い方について指導者は大方…
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「大阪ミナミの貧困女子」村上薫、川澄恵子著/宝島社新書
本書は、大阪ミナミの夜の街で働く女性たちのルポルタージュだ。夜の街は、コロナ禍で最も深刻な影響を受けた業界であるにもかかわらず、その惨状が報じられることは、ほとんどない。報じても、世間の同情を集める…
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「忖度しません」斎藤美奈子著/筑摩書房
先ごろ亡くなった半藤一利はじめ、保阪正康や内田樹の言説に違和感を消せないのは、彼らが一様に天皇制肯定から出発しているためである。とりわけ平成の天皇を「リベラルな天皇」として評価する。 それに…
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「東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&福島復興提言:2011+10」細野豪志著、開沼博編、林智裕・取材/構成徳間書店/1700円+税
東京電力福島第1原発事故から10年、事故後内閣府特命担当大臣として原発事故や除染などに携わった細野豪志氏が多くの関係者と会い、当時何が起こっていたかを対談形式で深掘りする。最終的には「科学が風評に負…
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「負けない交渉術」大塚弘昌著/朝日新聞出版
訴訟社会の米国で、弁護士として修羅場の交渉の経験を積んだ大橋弘昌氏(ニューヨーク州弁護士)による実践的な指南書だ。評者が外交官時代に出会った交渉の達人の技法とも通じるところがある。 大橋氏は…
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「2040年の未来予測」成毛眞著/日経BP
未来予測、特に長期の予測は、本当に難しい。経済や社会に関する幅広い知識が必要だし、深い洞察力が不可欠だからだ。著者の本業は科学技術だから、その分野の予測は説得力がある。例えば6Gのスマホだ。私は、5…
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「菅義偉の正体」森 功著/小学館新書
「いかに信念のない政治家が多いことか」 菅首相が著者にそう語ったという箇所を読んで私は大笑いしてしまった。自分のことはわからないと言われるが、これはひどすぎる。 菅が「いかに信念のない…
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「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン著 久山葉子訳 新潮新書/980円+税
スウェーデンのベストセラー作家で精神科医によるスマホの危険性を説いた本だ。人類はこれまでの99・9%の時間を狩猟と採集に費やしてきたという。その長い時間をかけて少しずつ進化していったのだが、スマホが…
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「陰謀の日本近現代史」保阪正康著/朝日新書
昭和史研究の第一人者である保阪正康氏による日刊ゲンダイの人気連載「日本史縦横無尽」を加除修正、編集し、まとめられたのが本書だ。 歴史は陰謀と結びついている。評者も外務官僚時代、さまざまな陰謀…
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「逆・タイムマシン経営論」楠木建、杉浦泰著/日経BP
本書は、「同時代性の罠」に陥って経営判断を誤らないように近過去に学ぼうと提言する経営書だ。同時代性というのは、世の中を虜にするブームのことだ。その弊害は、私自身も強く感じていた。 本書でも取…
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「大資本はなぜ私たちを恐れるのか」武建一著/旬報社
現在、日本の企業の内部留保は475兆円もある。竹中平蔵らが唱導する新自由主義によって企業の自由勝手度が強まると共に法人税の相次ぐ引き下げの結果である。しかし、何よりも労働組合の結集体である連合が、ま…
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「日本の外からコロナを語る 海外で暮らす日本人が見たコロナと共存する世界各国の今」 下川裕治責任編集/メディアパル/1300円+税
新型コロナ以降、海外在住日本人のツイッターやニュースサイトへの寄稿を目にすることが多くなった。また、米英在住医師が日本の対応について苦言をテレビで述べるさまなどを見てきた。 アメリカ在住の野…
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「いまこそ『社会主義』 混迷する世界を読み解く補助線」池上彰、的場昭弘著/朝日新書
コロナ禍が世界的な規模で資本主義に大打撃を与えている。経済成長が止まり(部分的には衰退が起きている)、国家間、地域間、階級間、ジェンダー間の格差が拡大している。 アメリカやヨーロッパでは、社…