週末オススメ本ミシュラン
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「大分断」エマニュエル・トッド著/大野舞訳/PHP新書
コロナ禍で世界は大きく変わるという主張をする有識者が多い中でフランスの人口学者で歴史学者のエマニュエル・トッド氏は全く別の見方を示し、<コロナ以後(ポスト・コロナ)について、私は「何も変わらないが、…
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「日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす」 青山透子著/河出書房新社
日本航空123便が御巣鷹の尾根に墜落してから35年が経つ。著者の青山透子氏は、元日本航空の客室乗務員で、墜落で同僚を失ったことがきっかけで、墜落の詳細を調べるようになった。 そこで、政府が発…
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「女帝 小池百合子」石井妙子著/文藝春秋
小池百合子がおよそ360万もの票を得て東京都知事に再選された。「実話BUNKA超タブー」という雑誌の8月号が「小池を都知事にしてしまう東京都民というバカ」なる特集を組んでいるが、小池に票を投じた「バ…
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「TKマガジン vol.01」レゾンクリエイト 2200円+税
複雑心奇形という、生きて生まれる確率3%の心臓病とともに生まれ、その後、病院のミスにより硬膜下血腫(脳に血がたまった状態)になり人工の管を入れる人生を送るTKことミウラタケヒロさん(15歳)。生まれ…
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「大衆の反逆」オルテガ・イ・ガセット著/佐々木孝 訳/岩波文庫
大衆社会においては、自分がよく知らない分野について発言しても構わないという雰囲気が醸成される。 コロナ禍で感染症の専門家と称する人たちが、食事をするときは、並んで黙って食べろというような「新…
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「欲望の経済を終わらせる」井手英策著/インターナショナル新書
本書は、新自由主義批判の本だ。ただ、よくある頭ごなしの新自由主義批判ではない。新自由主義が生まれた歴史やそこで採られた政策、そして経済への影響を丁寧に分析している。その上で著者は、小さな政府を目指す…
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「トラジャ」西岡研介著/東洋経済新報社
別名“JRの妖怪”の松崎明(JR東労組のボスで革マルのドン)と“女帝”の小池百合子は親交があった。意見の異なる者を排除するその“排除体質”で一致していたのだろう。やはり、女帝よりは妖怪の方が激烈で、…
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「働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ」落合陽一著/小学館
踏み絵を迫る本である。一体何の踏み絵かといえば「おまえは終わったヤツか? おまえはまだ活躍できるヤツか?」ということだ。この本を読めば読むほど気分が落ち込んでしまう読者は「終わったヤツ」と認定された…
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「昭和史がわかるブックガイド」文春新書編/文春新書
コロナ禍で日本は危機に直面している。こういうときには過去の歴史から学ぶことが重要だ。本書は昭和史に関するブックガイドの決定版だ。21の論考が収録されている。 評者が最も有益と思った論考は、関…
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「10年後に食える仕事食えない仕事」渡邉正裕著/東洋経済新報社
急速に進展している人工知能やロボットの活用が、仕事をどのように変えるのかは、重要な課題だ。いまから5年前、野村総研が、いまある職業の49%が消えてなくなると発表したときには、世間に大きな衝撃が走った…
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「魂の痕」梁石日著/河出書房新社
梁石日はその文学活動を詩人として出発させた。梁の詩人の稟質は、光と闇のより広く深いコントラストを描く散文(小説)の世界に転じても消されることはなかった。オビに「『血と骨』と一対をなす、実の母親をモデ…
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「カイタイ新書 何度も『買いたい』仕組みのつくり方」博報堂ヒット習慣メーカーズ著・中川悠編著/秀和システム
インターネットが隆盛の時代、どうすればモノが売れるか、マーケティングの最先端はどうなっているのか? が分かる本である。マーケティング本についてはフィリップ・コトラー、ピーター・ドラッカー、トム・ピー…
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「もっと試験に出る哲学『入試問題』で東洋思想に入門する」斎藤哲也著/NHK出版新書
大学センター試験を通じて東洋思想を学ぶというユニークな作品だ。古代インド思想、仏教、儒教、道教はもとより、日本の尊皇攘夷思想や西田幾多郎の「無の哲学」の特徴をこの一冊で知ることが出来る。 斎…
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「岩井克人『欲望の貨幣論』を語る」丸山俊一著/東洋経済新報社
お金って何だろう。なぜ紙切れが価値を持っているのか。それは私が小学生のときに感じた疑問で経済に興味を持ち始めたきっかけだった。 本書は昨年NHK―BSで放送された「欲望の資本主義特別編・欲望…
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「国策不捜査『森友事件』の全貌」 籠池泰典+赤澤竜也著/文藝春秋
「日本を大事にしている愛国者をそのように安倍政権が陥れるのなら、この安倍政権は腐ったものです。園長は国のためを思ってやってるんだから、こんな時ほど内閣が切り捨てないで助けてくださったらえんじゃないです…
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「焼き鳥の丸かじり」東海林さだお著/文春文庫
「丸かじりシリーズ」文庫版の最新・第40弾だ。同シリーズはほぼすべて読んでおり、1967年に連載が開始された「新漫画文学全集」以後の著者の漫画もかなり読んできた。しかしここ数年、東海林氏の文章から離れ…
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「本屋を守れ 読書とは国力」藤原正彦著/PHP新書
数学者で作家の藤原正彦氏によるユニークな教養論だ。藤原氏は、アメリカニズムが日本の教養を破壊したと考える。 <戦後、アメリカ占領軍による言論統制(『閉ざされた言語空間』江藤淳著に詳説)により「…
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「鉄道について話した。」市川紗椰著/集英社
今年2月、JR浜松町駅で、ガンダムスタンプラリーのスタンプを押していたら、背中から声をかけられた。振り向くと、そこにはタレントの市川紗椰さんの顔があった。 思い出した。市川紗椰さんは、ガンダ…
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「検事の死命」柚月裕子著/角川文庫
いま、柚月裕子の小説にハマっている。「岩手県生まれで山形県在住」も山形県出身の私には一つのキッカケだったが、検事の「佐方貞人」という主人公の名前も私のサタカに似て気に入っている。しかし、それらはあく…
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「紳士と淑女のコロシアム『競技ダンス』へようこそ」二宮敦人著/新潮社/1650円+税
「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」著者による大学の競技ダンス部をめぐる小説だ。主人公・大船は二宮氏本人の分身ともいえるキャラのため、かなりの部分は同氏が経験したことだろう。 まえ…