「ロスト7」真山仁著
「ロスト7」真山仁著
新潟の原発近くにある青田稲荷で、不審物が発見されたところから物語が始まる。神社の賽銭箱の上に黒いカバンが置かれており、そこには「触るな危険!!」の文字と放射能を警告する三つ葉マークが描かれた張り紙があった。カバンからは高い数値の放射能が検出され、旧ソ連製の超小型核爆弾、通称“レベジの核”が入っていた疑いがあったが、中身は空だった。
日本政府は事態の収拾に向けて、元内閣情報調査室長の冴木治郎に白羽の矢を立てる。そんな矢先、海外に潜伏していた過激派組織「蒼き狼」のリーダーが突如日本に帰国。レベジの核との関係性を探るなか、ロスト7と名乗る人物からの犯行声明が届くなど、同時期にさまざまな動きが起こり始める。果たして冴木は、核の行方とロスト7の正体をつきとめることができるのか。
「ハゲタカ」「売国」「オペレーションZ」など数々のヒット作を持つ著者による国際謀略小説。原発付近での小型核爆弾を使ったテロの背景に何が隠されているのか。米国の思惑にも翻弄されるなか、日本の存亡にかかわる危機を回避するべく奮闘するストーリーに手に汗を握る。
(KADOKAWA 2145円)