城みちるとの交際で「歌か恋か」を迫られた伊藤咲子
<1979年3月>
3月16日の昼下がり、東京・溜池にあるレコード会社の一室で会議が開かれていた。出席者は同社の制作部長、邦楽本部長、宣伝部長、チーフプロデューサー、プロダクションの役員、そして伊藤咲子(当時20)。彼女は前年12月から芸能活動を休止していた。
「伊藤は事務所やレコード会社から“恋をとるか歌をとるか”を迫られていた。結論が出るまで仕事を入れないと言われていたんです」(芸能記者)
それから3カ月、恋人と別れることを決断した伊藤がそのことをレコード会社に報告しに来たのだった。2時間にわたる話し合いの末、歌手活動の再開が決まった。
恋人とは城みちる(同21)。2人とも「スター誕生!」出身。73年12月「イルカにのった少年」でデビューした城に続いて、伊藤も74年4月「ひまわり娘」でデビュー。アイドルとして華々しいスタートを切った。
レコード会社も通う高校(堀越学園)も同じ。一緒のステージに立つことも多く、10代半ばの2人は互いに好意を持ち始める。伊藤は城のマンションに行って勉強を教えてもらったり、同居する姉の手料理をごちそうになったりした。プラトニックな関係が大人の愛に変わるのは城が76年、突然芸能界を引退して駒沢大学に進んでから。免許を取った城の運転で湘南をドライブした。