「明日ママ」騒動 「現段階での放送中止には疑問」と識者

公開日: 更新日:

 期せずして、この冬最大の話題作になってしまった「明日、ママがいない」(日本テレビ系)。初回放送直後に熊本県の病院などが放送中止や内容改善を要求したことに始まり、批判や非難の拡大、スポンサーのCM自粛と騒動は現在も進行中だ。

 まず、当たり前だが、これがドラマでありフィクションであることを再確認したい。その上で、このドラマは子どもから見た親を描きつつ、一般的に“弱者”と思われがちな子どもの強さも描いている。また経済的事情から虐待まで、さまざまな理由で自分の親に養育してもらえない子どもたちの問題を提起していることも事実だ。芦田愛菜(写真)をはじめ、子役たちの圧倒的な演技力も評価できる。

 もちろん、主人公に「赤ちゃんポスト」からとった「ポスト」というニックネームを付けるなど、当事者も含む視聴者に対する想像力と思慮に欠けていたことは否めない。これまでもエグい物語展開や人物設定で名を馳せてきた野島伸司を脚本監修に置いたことで、「クレーム上等!」くらいに思っていたのかもしれないが、同じ野島の「家なき子」の時代と今では社会の環境や意識が大きく変わっている。それはスポンサー企業も同様だ。

 とはいえ物語の全体像が見えていない現段階で放送を中止することがいいとは思えない。日テレの判断と対応、BPO(放送倫理・番組向上機構)の見解にも注目したい。
(上智大教授・碓井広義=メディア論)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  3. 3

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  4. 4

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  5. 5

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  1. 6

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  2. 7

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  3. 8

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

  4. 9

    中居正広が払った“法外示談金”9000万円の内訳は?…民放聞き取り調査で降板、打ち切りが濃厚に

  5. 10

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭