劇場オープン加速させる 吉本興業“地方戦略”の狙いと公算
7日、静岡県で初のよしもと常設劇場「沼津ラクーンよしもと劇場」がオープンした。会見に登場した「トータルテンボス」は静岡県御殿場市出身。大村が「治安の悪い沼津を笑いで良くしたい。沼津には、サドルのある自転車はない」と言うと、「中川家」の礼二が「大阪でいうところの、通天閣あたりってことやな」とかぶせ、笑いを誘っていた。同じ日、埼玉県初のよしもと常設劇場となる「大宮ラクーンよしもと劇場」もオープン。同劇場で発表会見が開かれ、MCの「ピース」綾部が「中学を卒業した春に好きな女の子に告白して初めてデートしたのが大宮公園だった」と地元エピソードを披露した。
昨年12月の「よしもと幕張イオンモール劇場」に続く2劇場のオープンと、地方進出がめざましい吉本。もっとも一部では「幕張の劇場は、平日はガラガラ。出演者が知名度のない芸人中心だから仕方ないだろうけど……。逆に休日はほぼ満席。土日だけオープンすればいいのに」(芸能関係者)とも言われているだけに、地方劇場の増設には懸念の声もある。しかし、そこには吉本らしい計算と思惑があるんだとか。
「幕張は『イオン』がテナント代を負担しているため、芸人のギャラと入場料のバランスさえ取れていれば大赤字にはならない。たとえ平日はガラガラでも、出演するのが若手芸人ならばギャラも安く済む。今回の大宮と沼津はパチンコチェーンを経営する『浜友商事』と吉本の共同運営。地域活性化を見込む代わりに浜友商事が家賃などを負担することで、吉本の出費を軽減。交通費を浮かすために地元在住の“住みます芸人”を中心にイベントを開催する予定です」(吉本興業関係者)