<第23回>戦後初の韓国ロケ作品
昔、国を守るために命を散らした人たちがいる。それが今では風化していきそうになっている。じゃあ、それを映画にしてみようと、そう思ったのです」
高倉健は政治的な発言などしたことはない。菅原文太と違い、政治家の応援演説なども行ったことはない。彼は右翼でも左翼でもなかった。常識あるひとりの日本人として政治を見ていた。彼は他人の悪口は言わず、泣き言も言わなかった。誰かの責任を追及しようとも思っていなかった。
だが、この映画のときだけは「日本人として忘れてはいけないものがある」と主張した。
それだけに「ホタル」には大きな意味がある。声高なメッセージ映画よりも、あの高倉健が「伝えたいことがある」と言う事実は重い。(おわり)