街歩きの達人 なぎら健壱に聞いた「いい酒場との出合い方」
歌手デビュー45周年。ウイットに富んだ歌詞のシンガー・ソングライターとして精力的にライブに取り組む一方、街歩きの達人、下町酒場の名ナビゲーターとしても、つとに知られる粋人。エッセーや写真集も数多く発表している、なぎら健壱さん(65)に話を聞いた。
■店のオヤジ、女将はぶっきらぼうがいい
いい酒場、お気に入りの居酒屋にどうやって出合うか?それは飲んべえの永遠のテーマでね、これには方程式も定理もないんです。酒歴40年をはるかに越え、毎日のようにあちらこちらで飲んでるアタシ自身が、まだ確信を持てなくてさまよい歩いてるんですから、まあ間違いはない。
それは“奥が深い”なんて、軽いひと言で言い逃れできないくらい奥が深い(笑い)。 第一、アタシがすっごく惚れ込んだ酒場があったとしてもね、それはアタシの感性にストライクだということであって、じゃあ、他の方が行ってみて「ああよかった」って思ってもらえるか? ね?、正直な話、100%、そうとは言えないでしょ。
酒場、居酒屋、まあバーでもいいけど、「いい店」のポイントはまず店のたたずまいですね。入り口や看板、暖簾に風情があって、妙な気取りを感じさせないこと。内装もしかりでね。アタシはくつろげる雰囲気がないとダメ。入って、ホッとできる空気感は不可欠ですよ。