「甘い言葉はバカバカしい」行為嫌いな46歳夫、妻のため“演技で”求めた時に気付いたこと
46歳、レス解消に努力をしているけど
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「うん、本当に色々ストレスです。今、レス解消のために努力を始めたところなんですけど。正直レスってそんなに問題ですか? なければないで、別にいいんじゃないですか。俺の考えは甘かったんでしょうか」
夫婦で参加したバーベキューがきっかけで、親しい人たちから「レスは問題」「今すぐ改善すべき」と強くアドバイスをされたケンゴさん。
あまりにも周囲が力説するので唖然としたと振り返ります。
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性欲はほとんどなし
「その場に集まっていた夫婦が口々に『レスはヤバい』って言うから、俺たち夫婦はそんな大事なことを何年も放置していたのか…と愕然としましたね。
まぁ夫婦仲が悪くてレスになったわけでもないし、レスを解消できるならそのほうが健全な関係ですよね」
その後、妻と話し合った結果、二人で努力を続けていますが、違和感はぬぐえないままだと、ケンゴさんは肩をすくめます。
「なんて言うんですかね、ぶっちゃけ俺はそういうの淡白なんですよ。性欲はほとんどありません。
だから、夫婦でそっち系の動画を観て気分を盛り上げたり、普段は言わないような、歯の浮く甘い言葉でムードをつくったり…。なんだかバカバカしいんですよ」
離婚のリスクが減るなら…
ケンゴさんは首をひねりながら、疑問を口にします。
「レスのまま夫婦で添い遂げる確率って、どのくらいなんですかね? 日本人って他の国に比べてレス夫婦が多いと聞いたことがあるんで、あんまり問題視していませんでした。やっぱレスだと離婚する確率って上がるんですかね?
俺は早織を愛しているし、添い遂げたいと思っています。離婚のリスクが減るならレスを解消したいんです。でも…ひょっとしてレスでも満足していたのは俺だけなんでしょうか。
早織も『私はレスでも構わないんだけど』とは言っていたけれど。もっと激しく求め合う夫婦が理想で、内心では不満を抱えていたのかもしれません。性の話って、なかなか本音を言いにくいでしょうから」
妻を愛しているから
ケンゴさんはいったん言葉を切り、小さなため息とともに続けます。
「だって俺が演技とはいえ強く求めると早織は嬉しそうな顔をするんです。俺はそれを見逃しませんでした。今まで淡白な俺に合わせてくれていたんですかね。
となると、やっぱり早織を喜ばせるためにはレスを解消しないと。彼女を愛しているから、俺も覚悟を決めなくてはいけませんよね。本音を言えば、夫婦の営みをしないでいいなら、したくないです。だって体が疲れますから…」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。些細なすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)