漫画家・古谷三敏が語る 手塚治虫と赤塚不二夫の酒の思い出

公開日: 更新日:

 本格的に飲むようになったのは、手塚治虫先生と赤塚不二夫先生のアシスタントをしていた時です。手塚先生はあまり飲めなかったんだけど、一度だけ、仕事で缶詰めになった後、「オレの知ってる店でごちそうする」と言って、新宿コマ劇場のちょっと手前にあったショットバー「いないいないばぁ」に連れていってくれました。2人でジントニックを飲み、先生はカッコつけてたばこを吸うんですけど、もともと吸わないもんだから、うまく吸い込めていませんでしたね(笑い)。手塚先生にはそんな面もありました。

 手塚先生のアシスタントをしていた時は、午前1時とか2時に仕事が終わると、西武池袋線の富士見台駅にあった先生のスタジオから20分ぐらい歩いて、自分のアパートに帰っていました。冬は寒いし、まだ23歳のころで独身だったから、冷えた体でせんべい布団に入って、寝る気になれない。おでん屋さんで焼酎や日本酒の熱燗を一杯キュッとやって、帰っていましたね。

 赤塚先生のアシスタントをしていた時は、同じくアシスタントだった高井研一郎さん(「総務部総務課山口六平太」など)と2人で、よく仕事の後に新宿で飲んでたんです。飲みながら「赤塚先生も飲めるといいのにね」「飲めたらリラックスして、もっと本音で話し合うことができるのに残念だな」と話してました。

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