愛之助を起用 ドラマ「LOVE理論」はキャスティングの勝利
【連載コラム 「TV見るべきものは!!」】
モテるんだねえ、片岡愛之助。熊切あさ美の次は藤原紀香だという。歌舞伎界には「芸の肥やし」というありがたい言葉もあるので、この騒動をしっかり収めて、舞台に精進してもらいたいものだ。
その愛之助が、何ともタイムリーなドラマに出演している。その名も「LOVE理論」(テレビ東京系)。茨城から東京に出てきた大学生(大野拓朗)が、「モテたい」という夢を必死で追いかける物語だ。愛之助は、大野のバイト先であるキャバクラの店長。しかも、“恋愛理論の達人”という裏の顔を持っている。
大野がアプローチしているのは、新人キャバ嬢として入店してきた、同じ大学の女子学生(清野菜名、好演)。毎回、愛之助が大野に授けるLOVE理論が笑える。たとえば、わざと障壁をつくって相手を揺さぶる「ロミオとジュリエット理論」。また、トラブルを抱えた相手に取り入るための「そんな事か理論」などだ。
金髪のかつらをかぶった愛之助は、マスターとしての威厳と自信を持って、大野を指導していく。しかも、そのテンションの高さが異様だ。「理論通りには展開しない、自身の恋愛へのいら立ちがあるのか?」などと、つい余計な想像をしてしまう。
2年前、コンビニを舞台に同名ドラマが放送されたが、その時の恋愛理論マスターは中村獅童だった。連続してキャスティングの勝利である。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)