モハメド・アリを「日本に呼んだ男」が語る初来日の裏側
「ボクシング興行を牛耳っていたのはアメリカならマフィア、日本ならやくざ。僕がアリの試合を日本でやるということは順番待ちしているアメリカのプロモーターに割って入ることになるので随分と脅されたり怖い思いもしました。向こうはイエスかノーで中間がなくていきなりズドンだから日本的な話し合いが成立しない(笑い)。ファイトマネーはたしか当時で800万ドル。今なら30億円はくだらないでしょう。元金を出してくれたのは伊豆の某土地成り金。来日中は映画『兵隊やくざ』を撮影中の勝ちゃん(勝新太郎)のところを訪れたりもしました。当時は山口組3代目の田岡組長もジムに練習を見に来ましたよ。アリは酒はまったく飲まないけど女は嫌いじゃなかった(笑い)。ちなみに、試合は4月1日。アリも僕も“ビッグマウス”と呼ばれていたから、あえてエープリルフールを選んだんです」
■幻に終わった猪木と“人食い大統領”の一騎打ち
そんな康氏が「もし実現していたら……」と語る世紀の一戦がある。アントニオ猪木VSウガンダのイディ・アミン大統領の異種格闘技戦だ。アミン大統領は“人食いアミン”と呼ばれたアフリカの独裁者で、ボクシングの東アフリカヘビー級チャンピオン。