洗礼は鴻上尚史のダメ出し 筒井真理子さんの駆け出し時代
■「こんなにバカだとは……」
青学は当時、ハマトラやニュートラの時代で、同級生がどんどん涼しく、奇麗になってました。それと早稲田の違いたるや! でも、そこがいいなあって。もともと高校(甲府第一)はバンカラでしたし、うちの母の年の離れた兄が早稲田の学生で、学徒出陣で亡くなっているんですね。ですので早稲田に行くのは大賛成してくれました。
それで劇団に入れていただいたんですけど、主宰で演出の鴻上さんはとにかく怖かった。飲み会にも絶対顔を出さないし、雑談なんか一切しない。
3日くらいした時、「本番中に襲撃してまでして入ったのに、こんなにバカだとは思わなかった」って。実際、あまりにポップでセリフが速くて、ついていけなくて、駄目出しを聞くたび、このまま生きてていいのかなあという気持ちになったりしました。
高田馬場の芳林堂書店でスタニスラフスキーのメソッドの本を買ったころ、鴻上さんから平台の上であぐらをかいて、目をつぶるよう言われました。
「そこはフライパンで、君たちはポップコーンの種だ」