松山ケンイチ語る 「聖の青春」に向き合って気付いたこと
「勝負師というのはあらゆる荷物を背負って盤面の前に座っているわけではなかった。むしろ、勝ちたいという気持ち以外は捨てている。ひたすら目の前にある世界にのめり込むんです。将棋と演技は、似ているのかもしれません」
■材料がある方が捨て甲斐もある
これまでの出演作には、実在の人物や漫画の実写版が複数ある。それがハマるから「松ケンワールド」などと評価されてきたが、そもそもビジュアルのイメージができている作品に出演することに迷いや抵抗はないのだろうか。
「僕は臆病だし怖がりなので、最初にたくさん材料や情報があるほうがいい。もちろん、それらに頼り過ぎてしまうと単なるコピーでしかないので、オリジナルのものを作り出すためにはどこかで捨てる作業が必要になりますが、材料がある方が捨て甲斐もあるような気がします」
20代前半はうまく断捨離できず、「酒をがぶ飲みして吐いたり、喧嘩したり。自分を痛めつけていた」。限界を感じつつあった26歳、結婚して変わった。