著者のコラム一覧
ペリー荻野コラムニスト

愛知県出身、時代劇研究家。大学在学中からラジオパーソナリティー兼放送作家としての活動を始める。主な著作は「チョンマゲ天国―時代劇が止まらない」「ちょんまげだけが人生さ」「ちょんまげ八百八町」など。また、監修した時代劇音楽CD「ちょんまげ天国」4作は12万枚を突破している。

<第1回>長寿人気を支えた 目、耳、舌を楽しませる仕掛け

公開日: 更新日:

 吉右衛門版鬼平には、印象的な素材がいろいろある。たとえば初代ナレーター中西龍。「いつの世にも悪は絶えない」冒頭のこの言葉を聞いただけで、視聴者は一気に江戸の闇の世界に引き込まれる。中西は遊郭に出入りするなどNHK時代から型破りとして知られた語りの名人。どこか鬼平の人物像とも重なる。

 エンディングも番組の名物。春の桜、初夏の霧雨、夏の花火、秋の紅葉、冬の雪と夜泣き蕎麦……江戸の四季の描写の見事なこと。これらが京都郊外でロケしたというところが時代劇技術のすごいところだ。ジプシー・キングスの名曲「インスピレーション」も今やなくてはならないもの。着信音にこの曲を使ったことで、「君も鬼平ファン?」と上司に気づかれ、急に話が合うようになったという人が私の周りにもいた。

 軍鶏鍋や一本饂飩、芋酒など江戸の食もシリーズのお楽しみ。ドラマでは料理上手の与力「猫どの」こと村松忠之進(沼田爆)というオリジナルキャラクターも活躍する。登場人物の個性と物語の面白さに加え、エンディングまで目や耳や舌をしっかり楽しませる仕掛けも、長寿人気の秘密だったのだ。(つづく)

【連載】「鬼平犯科帳」魅力の真髄

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出