コミック実写化“炎上”続く中…映画「銀魂」はなぜウケた
空知英秋の大人気コミックを実写化したコメディー映画「銀魂」(公開中)が異例の盛り上がりを見せている。通常、この手の実写映画化は漫画版の熱狂的ファンからネガティブに取られることが多い。勝手なアレンジを加えられ、原作レイプだと炎上するケースも少なくない。
ところが「銀魂」は、主演の小栗旬はじめ菅田将暉や橋本環奈、柳楽優弥といった豪華キャストがことごとく「原作キャラそっくり」と、その再現度をファンから絶賛されている。この異例の高評価について映画批評家の前田有一氏が解説する。
「福田雄一監督は原作ものを数多く手がけていますが、原作ファンからの評価が高い数少ない映画監督のひとりです。何しろパンティーをかぶった半裸のヒーロー『HK 変態仮面』シリーズなど、どう見ても実写化困難な原作の映画化ばかり一手に引き受け、成功させてきましたからね。同じくシュールなギャグを連発する『銀魂』実写化の話が出たときも、常に原作ファンのため作家性を抑え、職人監督に徹する福田監督ならと原作者も読者も歓迎した経緯があります」
天人と呼ばれる宇宙人と人間が共存する、架空の江戸時代末期を舞台にしたSF時代劇。便利屋を営む元サムライの坂田銀時(小栗)は、いつしか居ついた仲間たちと共に、かつての同志・桂小太郎(岡田将生)失踪事件を追う。携帯電話やテレビなど文明道具から宇宙船まで、なんでもアリの世界観の中で、原作同様人気マンガやアニメ、映画など超有名作品のパロディーが連発される。