著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

重いテーマに一抹の“おかしみ” 星野源の空気感に救われる

公開日: 更新日:

 ヒット作「逃げるは恥だが役に立つ」の後、出演作が注目された星野源(36)。最新主演ドラマが「プラージュ~訳ありばかりのシェアハウス~」(WOWOW)だ。物語の舞台は、オーナーの潤子(石田ゆり子)が営むカフェ&シェアハウス「プラージュ」。ここに訳ありの住人たちがいる。

 美羽(仲里依紗)は路上で誘われた男と一夜を共にして稼いでいる。紫織(中村ゆり)はコカイン所持の容疑で逮捕歴がある。中原(渋川清彦)は恋人を守るために人をあやめた過去を持つ。

 さらに加藤(スガシカオ)は殺人の罪で5年間服役し、現在は再審公判中。その加藤を題材に記事を書いている、覆面ライターの野口(眞島秀和)もプラージュの住人だ。

 そこに加わったのが、思わぬことから覚醒剤がらみで「前科者」となった吉村(星野)である。再就職しようと動くが、前科者にはハードルが高い。だが、それ以上に他の住人たちはヘビーな経験を重ねていた。

 集まった芸達者が演じる、“生きづらさ”を抱えた人たち。また野口が書いた記事の見出し、「日常に潜む殺人鬼」の文字にもリアリティーがある。

「犯罪者は社会に受け入れられるのか」は重いテーマだ。しかしこのドラマ、決して重くて暗いわけではない。星野源ならではの“おかしみ”が、絶妙の劇的空気感を生み出しているからだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された