「師匠と弟子」仁科克基が振り返る父・松方弘樹との日々
1年前に亡くなった松方弘樹さんと仁科亜季子さんの息子・仁科克基さん(35)。芸能一家に生まれ育ち、子供の頃から注目されてきたが、克基さんが高校1年の時に両親は離婚し、母方に引き取られて父親とはずっと音信不通だった。そして今、ようやく懐かしい写真を見返すことができるようになった……。
◇ ◇ ◇
17年1月に松方さんが亡くなるまで、実はすべて拒絶していました。ようやく写真を見られるようになったのは亡くなってからです。京都で一緒に住んでいた頃の写真なんかを見ると、幼い頃のことを思い出しますね。すごくかわいがってもらっていたと思います、振り返ってみれば。
松方さんは釣りやハンティング(狩り)が好きだったんで、いろんな所に連れて行ってくれました。オカンと妹は家に置いて、僕だけを連れてポルトガルとか、コスタリカとか、ニューカレドニアとか、海外の電気も通ってないような無人島とか。松方さんは本を読ませたり写真を見せるよりも、実際に触れさせたかったんでしょうね。
いいお店にもよく連れて行ってくれました。でも、それはぜいたくをさせたかったんじゃなくて、ホンモノを知れということだったんだと大人になってから気づきました。
子供の頃、松方さんはすごい怖い人でした。父と子というより師匠と弟子という感じ。
京都で一緒に住んでいた時、松方さんは帰ってくるのが毎日遅くて、起きている時間に帰ってくることはほぼなかった。月に1回あればいい方かな。帰ってきてもオカンと妹と3人で、玄関に並んで正座して三つ指ついて「お帰りなさいませ」と、頭を下げて迎えるのがルールでした。
殴られることもよくあった。子供だからオカンにいろいろ怒られる。言うことを聞かないと、オカンが松方さんに「怒って」と言う。そうすると松方さんが出てきてバチーン! と平手が飛んでくる……。オカンが何で怒っているのか、何をしたからとかは理解していなかったと思います。とりあえず殴っとけという感じ。理不尽やなあと思ったけど、怖くて反抗もできなかった。