特別編<4>大空真弓はどことなくエキゾチックな感じが魅力
倉本 大空さんは今回、テレ朝がキャスティングしたんですが、ある女優さんが主宰していた「年増会」という女性だけの会になぜか僕が呼ばれたりして、大空さんとは何回も会っていたんです。ただ、一緒に仕事をしていないものだから、これまでは意外と書けませんでしたね。
碓井 時間をかけて人間性を知り抜いたうえで書いていくわけですから。そういう意味では、いしだあゆみさんは倉本ドラマのド真ん中。キャスティングの打診は先生からされたんですか。
倉本 それがね、あゆみちゃんから言ってきてくれたんですよ。僕の中では、あゆみちゃんがこのドラマに合う年になっているだなんて思いもしなかった。だから、言われたとき、「アーッ」なんてね。
碓井 いしださんが古希だなんて思いませんよね。
倉本 あゆみちゃんと倍賞千恵子さんは日本の女優を変えたって気がしているんです。しわを隠さなくなった初めての日本の女優さん。〈男の顔は履歴書〉っていう言葉がある一方で、女性の場合は〈女の顔は請求書〉という言葉しかなかった。でもねえ、僕は女性の顔だって履歴書だと思う。映画会社などからの要望もあって、しわを厚塗りで隠す女優が多い中、倍賞さんとあゆみちゃんはしわを平気で出した画期的な女優さんですよ。
碓井 いしださんは「大都会」(76年、日本テレビ系)に続いて「北の国から」(81年~、フジテレビ系)に出演し、翌83年には「金曜日の妻たちへ」(TBS系)で金妻シリーズの代名詞とも言うべき女優のひとりになった。
倉本 僕はそのあたりから付き合いがなくなりましたね。
碓井 日本のドラマ界を牽引されてきたいしださんですから、「やすらぎの刻~道」でも元大女優という役柄かと思ったら、大空さんの妹分であり、付き人的な存在。そこがまた面白い。
倉本 これはね、あの役にあとでキャスティングされちゃったんですよ。だから、慌てて膨らませたんです(苦笑い)。
(つづく)
(聞き手・碓井広義 文・山田稔)
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