維新の前原共同代表が「大学無償化」にも積極発言…定員割れ大学も対象に?格差是正になるのか
2026年度から本格実施する高校授業料の無償化で親の所得に関係なく進学の機会が得られるようになる一方、公立離れと私立人気によって中学受験が激化する可能性が高まる。
さらに3月3日には日本維新の会の前原誠司共同代表が自身のX(旧ツィッター)で、「次は大学無償化に制度設計を策定した上で取り組みます」と投稿した。持論の高校無償化を、少数与党との取引で実現したことに自信を得てのことであろう。ただ高専を含め進学率が90%を超える高校無償化と違って、大学が対象になる場合、その実態に即した制度設計が必要になることは間違いない。
「国公立大学ならまだわかりますが私立大学はピンキリで、外国留学生をかき集めて経営している地方私大まで税金で負担することはおかしい」という声もある。たとえば群馬県の東京福祉大学は、2016(平成28)年~18(平成30)年度の留学生の所在不明者数は計1610人に上っていることが判明し、また元大学トップの不祥事もあって、24年度まで私学助成が停止になっている。
他にも学部レベルで日本人学生より外国人留学生のほうが多い大学が24年時点で4校ある。ただ立命館アジア太平洋大学のように100か国以上から留学生を受け入れ学部生の40%強で、授業もキャンパスも日本語と英語が公用語というグローバリズム教育をポリシーとしている大学もあるので、一律には論じられない側面もある。
ホリエモンこと堀江貴文氏の言うように、Fラン大学や定員割れで存続が厳しい地方私大まで大学無償化によって税金で救済するのか、という声もある。しかし、定員割れで悩んでいた地方私大が、公立化することによって定員割れを解消して人気復活を果たしたケースは多い。私も取材したことのある福知山公立大学は公立化とともに学部を新設し、定員割れを解消したうえ、他県からも広く志願者が集めるようになった。公立化で学費が安くなったことも、再生の要因となったことは間違いない。
このように一概にFランだからとか、定員割れが続くゾンビのような存在だからといって、大学無償化の対象からはずすのにも疑問がある。もっと地方の地域事情を勘案すべきである。少子化が進み地方の私大の経営は苦しいが、学費を安くすることで、再生可能なケースも少なくない。現状に即した制度設計が必要になってくる。偏差値による学力レベルや定員充足状況などによる大学の選別をして、それらの大学入学者だけを無償化の対象にするという主張は格差是正どころか、新たな格差を生み出しかねない。