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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

石原プロの“21世紀の裕次郎” 徳重聡がニヒルな脇役で開花

公開日: 更新日:

 東宝芸能が女優なら男性俳優の流れをくんでいるのが石原プロ。日活のスターだった故・石原裕次郎が設立。当初、撮影クルーを抱える映画製作会社だったが、テレビドラマにシフトして成功するや、石原を慕う渡哲也を皮切りに神田正輝舘ひろしが入り、「西部警察」など数々のアクションドラマを成功させ、ドラマ界に新たなジャンルを確立。芸能プロとしても名を成していった。

 隆盛を極めた石原プロだったが、1987年、52歳の若さで裕次郎が逝去。渡が継いだが、アクションブームも去り、経営が危ぶまれたこともあった。渡の年齢的なこともあり、社長の座を退任。裕次郎夫人・石原まき子氏がトップとして、立て直しを図った。

「男の軍団」を貫く姿勢を通すが、時代の流れに遅れ全盛期の勢いは薄れていたが、ここにきて明るい兆しも見えてきている。2000年、石原プロは新人発掘オーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」を開催。5万人を超える応募者があった。その中からグランプリを獲得したのが、当時22歳の徳重聡だった。

 俳優としてのレッスンを受け裕次郎の兄・慎太郎氏原作のドラマ「弟」で若き日の裕次郎役でデビュー。第2の裕次郎になる日を予感させたが、その後は脇役が多く伸び悩んでいた。徳重もすでに不惑の40歳を迎えているが、昨年、ドラマ「下町ロケット」で爽やかな好青年から一転、ニヒルな役で脚光を浴びた。新たなキャラで第2の裕次郎は形を変えて蘇ろうとしている。

「下町――」では神田も悪役で新境地を開拓。アクションスターのイメージが強かった舘も昨年公開の映画「終わった人」で定年退職した会社員を好演。ブルーリボン賞で初の主演男優賞を受賞。

 設立から56年。伝統の底力に期待がかかる。

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