落語家に定年はありませんが…必ず年を取るし落ち目はある
46歳、埼玉に住んでる落語家の三遊亭鬼丸です。私、埼玉県からシニア応援大使というものに任命されてまして、先日その活動の一環で取材に行ってきました。70代、80代でも働いてるシニアの方の取材なんですが、考えたら私たち芸人はまさに生涯現役。ということで今回は落語家の定年について書きましょう。
まず最初に言っておくのは落語家に定年はありません。ただしここで故橘家円蔵師匠の名言を紹介しましょう。「噺家(はなしか)に定年はないが落ち目はある」です。そう落ち目はあるんです。噺家って年をとればとるほど良いかというとそういうもんでもなく、勢いがあって脂がのってきて、そこから味が出てきて落ち着いてきてアクが抜けて枯れてきてというふうに芸にも移り変わりがあります。
衰えを経験で克服はできるのでしょうが、いかんせん客商売。仕事のオファーがなければそれまでです。周りの環境も変わってきます。オダン(タニマチ)はどんどん年とって死んでっちゃう、仕事先の担当者がいつの間にか年下になってて自分を扱いにくそうにしてる、結婚式の司会が来なくなったと思ってよく考えたら新郎新婦の親の年より上になってた等々。しかし、人は必ず年を取ります。どうやって芸人たちは克服するのでしょう。まだ私はその年になってないのでよくわかりませんが、やはり芸しかないんでしょうね。