著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

スバル座閉館前に歴代最多動員主演俳優P・フォンダ氏逝く

公開日: 更新日:

 米国のスター俳優、ピーター・フォンダさんが8月16日に亡くなった。享年79。彼の代表作にして、アメリカン・ニューシネマの傑作「イージー・ライダー」(1970年=日本公開)で一世を風靡した。

 思い出したことがある。筆者が高校1年生のときだ。故郷の浜松で「イージー・ライダー」を見に出掛けたのだが、映画館前にズラリと並んだバイクの列に仰天した。多くのとっぽいあんちゃんたちが、映画に登場したようなギンギンのバイクで乗り付け、映画を見に来ていた。ポンポン(地元ではバイクの意)の街として知られる浜松ならではの光景だった。

 アメリカン・ニューシネマというと、筆者のような理屈っぽい映画こだわり派が好んだものだが、「イージー・ライダー」は例外だ。大ヒットした理由はバイクで駆け付けた彼らだけでなく、実に幅の広い客層に支持されたからだろう。

 ちなみにこの作品は、今年10月に閉館が決まった都内の老舗ミニシアター、有楽町スバル座の歴代最多動員記録作でもある。公開23週間で何と約18万人を動員したのだ。

 フォンダさんは、歴史あるスバル座の大貢献者だった。彼が同館閉館の年に亡くなるとは、何とも不思議な因縁といわざるを得ない。フォンダさんは、優しげな口元に特徴があり、比較的薄い色のサングラス姿がさまになる俳優だった。反体制派なのに、その薄い色のサングラスのままに妙な気負いなどまるで感じさせなかった。静かなたたずまいは、ときに切れ味抜群の刀をいつでも抜く用意のある、日本の侍のように見えたものだ。

 スバル座は閉館記念の一本として、本作を上映するという。彼の姿をスバル座のスクリーンで見れば、筆者は確実に泣いてしまうだろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇