銭湯でご老人の命を救った俺の「武勇伝」を聞いてくれ
クルクル~カラン!
いや~何? この開放的な気分は? って……アレー! 俺、スッポンポン全裸じゃない? どーりで開放的なわけだ……って、オーイ!! その俺の右腕を枕に80歳は優に越えたご老人が、シワクシャの全裸で横たわっているよ~! あ、あ、あー、この世にも奇妙な光景は西新宿の銭湯「H湯」ですよ……時は2019年です。
その日、俺はH湯の1階の脱衣場で衣服を脱ぎ、ロッカーに収めると、大きな風呂やサウナのある2階へと上がっていったのです。
そして、軽くシャワーを全身に浴び、まずはサウナでいい汗を……と思っていた次の瞬間、大きな湯船からご老人が上がったと思ったら、そのままタイルの床にバターンと倒れたのだった。なにしろ俺の目の前で起きたことだから、もう本能的に近づき、「大丈夫ですか」と声をかけたのだ。
その俺の問いに対し、全身血の気の失せた(ように見えた)ご老人は半開きの焦点の定まらない目で、まるで池の鯉が水面から酸素を求め、口をパクパクするように「バビ、ボブ、ブ(おそらく大丈夫と言ったのだと思われる)」という、か細い声を発したのだった……。全然、大丈夫じゃねーよ!! ってか、むしろ命危ういですからー!!