学生の半分がグラウンドを走り、残りの半分が非行に走る
松元ヒロは1952年、鹿児島市内で生まれた。鹿児島実業高校時代は陸上部で、駅伝の選手だった。
「スポーツ強豪校として有名で、『当時は、学生の半分がグラウンドを走り、残りの半分が非行に走る』(笑い)とネタにしてます。2年生の年に全国高校駅伝にアンカーで出場して、8位から4人抜きで4位になり、区間賞を取りました。地元新聞に写真入りで載って、あれが僕の人生の中で唯一の栄光でしたね」
法政大学に入学したのも長距離走の実力を買われてのことだった。
「スポーツ推薦枠というやつです。いくつもの学部を受けましたが、答案用紙に名前を書いた覚えしかない(笑い)。それで一番難易度が低い法学部政治学科に合格しました。まあ、陸上部に入学したようなものですけどね」
それでもマルクスの「資本論」だけは読んだという。
「読んだと言っても、第1巻の序章です。世の中の人間はブルジョアジーとプロレタリアートに分けられるということだけ理解しました。後年、作家の井上ひさしさんにその話をしたら、『それが分かれば十分です』と言われてうれしかったですね」