コロナ禍こそ必見 映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」
英国では緊縮政策と福祉予算削減が現場を疲弊させた結果、常に過労気味で追い込まれる職員らが続出。追い詰められた労働者たちを、そうした職員らがぞんざいにたらい回しする地獄絵図が本作の中でも描かれている。やがて疲れ果て、フードバンクに駆け込んだ若いシングルマザーが、空腹に耐えきれず棚の食品にかぶりついてしまうシーンは涙なしには見られぬ衝撃だ。
「国の無策が国民の対立をあおり、物乞い扱いされた労働者たちは誇りを傷つけられ、やがて生きる意欲を奪われていく。日本でも熱狂的な政府支持者や太鼓持ちの言論人がネットやSNS上で毎日やっていることです。この映画はそうした問題の本質をいち早く指摘し、怒りと感動のドラマに仕立てた類いまれな傑作といえます」(前田氏)
当時の英議会で、労働党はメイ首相に「この映画を見るべきだ」と叩きつけたという。マスクですら満足に配れないのに「日本モデルの力を示した」などと自画自賛に終始する安倍首相にこそ見せたい名作だ。