タイタン期待の新星「まんじゅう大帝国」漫才の野望と原点
実在しない映画の予告編だけを製作し、グランプリを受賞して初めてその作品は映画化される――そんな風変わりなコンテストをご存じだろうか。同コンテストでグランプリ受賞はかなわなかったものの、多くの反響を受けて本編の完成までこぎつけたのが、9日公開の「実りゆく」(彩プロ配給)だ。主演は若手漫才コンビ「まんじゅう大帝国」の竹内一希(26)。ネクストブレーク最右翼が囁かれる彼らを直撃!
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――エグゼクティブプロデューサーはタイタン社長の太田光代氏が務め、題字は爆笑問題の太田光。所属事務所の期待と本気度がうかがえます。
竹内「社長からは常々、“何でもいいから売れてちょうだい”って言われ続けていますが、ほんと、凄腕の社長です」
田中「気配りが物凄い。脇役の僕にも“あなたもすごい良かった”と電話をくれる心遣い。社長業は間違いなく天職かと」
竹内「田中(裕二)さんには事務所ライブの楽屋挨拶で、予告編が賞をいただきましたと報告したら、“俺はずっと褒めてたんだよ。だから賞を取ったろ?”って(笑い)。太田さんは具体的な言葉こそないけれど、題字を書いてくれたよね」
田中「爆笑さんは『言わないカッコ良さ』。大先輩だけど優しいよね」
「竹内を乗せるようなネタ、書き続けます!」
――技巧派漫才コンビとして話題を集めていますが、芸人を目指したきっかけは?
田中「小学生からお笑いが好きで、高校生のときには寮から母親へ電話をかけて芸人になりたいと宣言。お笑いを受け取る側じゃなく、提供する側になりたかったんです」
竹内「俺は球児で高校も野球推薦で入ったものの、挫折しました。代わりに打ち込めるものを探していたときに、文化祭で漫才をやって夢中になった。大学では落語研究会に入って現在まで運よく続けられています」
――ネタを書く人は決まってる?
田中「僕が書きますが、セリフが多いのは竹内のほう。やりやすいかな、気に入ってるかな……って、なんで相方の機嫌を取っているのか分かんないけど!」
竹内「そりゃ俺は上機嫌じゃないといいパフォーマンスができないタイプだからでしょ!」
田中「それ、プロが言うこと?(笑い)。でも、心の底から面白いと思ってしゃべってほしいからまずは竹内を乗せるようなネタ、書き続けます!」
さて、タイタンの蕾はどんな花を咲かせるか。
(聞き手=白井杏奈/日刊ゲンダイ)
映画『実りゆく』
▽竹内一希(たけうち・かずき=写真左)1994年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業、落語研究会に所属。2016年にコンビ結成、ボケ担当。「M―1グランプリ」(16年)にアマチュアながら3回戦進出し注目を集める。テレ東「行列の女神~らーめん才遊記~」(20年)など役者としても活躍。
▽田中永真(たなか・えいま=同右)1993年生まれ、北海道出身。東京理科大中退、在学中は落語研究会に所属。コンビのネタ、ツッコミ担当。国立演芸場令和元年度「花形演芸大賞」(20年)銀賞をコンビで受賞。フジ「ENGEIグランドスラム」「笑レース」など多数出演。