我が新作「無頼」は公開延期で正月作品に…乞う、ご期待
5月半ばに公開予定だった我が新作「無頼」も、コロナのせいで先延ばしされていたが、年末12月12日から東京地区を皮切りに順次全国封切りされることに。痩せても枯れても“正月作品”だ。乞う、ご期待だ。
もう封切りなんて言わないか……前作「黄金を抱いて翔べ」が封切られた8年前までは映画はフィルムで撮られ、プリントで上映されていたので、現像所から劇場に運ばれた35ミリプリントが入ったフィルム缶の“封を切って”映写機にかけたところから、そう呼ばれた。今は本編のデジタルデータが入ったハードディスクを操作するか、配給部がデータを電波で飛ばせば、上映も事足りる。映画の仕事に就きたい“映画青年”がバイトで重いフィルム缶を何缶も自転車の荷台に積んで劇場に運んだ昭和の風景が懐かしい。銀幕にはデジタルじゃ再現できない、その場面の空気感がしっかり映ったし、映画に味がある時代だった。スクリーンじゃなく「銀幕」だった。銀色の幕にこそ、光は全反射するのだ。
昭和にどっぷりつかった映画に「無頼」は仕上がっている。コロナで試写会もままならない時。代わりに、元日刊ゲンダイ編集部長の二木啓孝氏をゲストに迎え、木下ほうから出演者も交じってもらい、無頼(やくざ)たちも欲望のままに生きたあの頃その頃の世相や出来事を談話する愉快なユーチューブを、準備しているところだ。