酒井くにおさん 春団治師匠に誘われた「飛田でもう一軒」
私は日本舞踊を踊れるので、30代の頃、事務所を通してコンビで祇園に呼ばれたことがあったんです。「着物で来てください」と言われ、着物で出かけたら、祇園の女将さんが「品よくやっておくりやす」と。
出番の時、芸者さんがふすまを開けてくれると、座敷にお客さんがたった6人。おじいさんたちでしたけど、あとで聞いたら財界の方たち。私たちは「端唄・小唄」ができたのでそれを聴かせて、踊りも見せて。
私は背が低いし、痩せてたから日本舞踊で女形の踊りしか習ってなくて、それで漫才でもよく女役をやってきたんですよ。奇麗でもないのに(笑い)。
他にもお座敷でやったことありますけど、少人数のお客を相手に芸を見せるお座敷はコロナの今はもしかしたらいいのかもしれませんね。大声出すわけでもなし、静かに見てますから。まるで芸人が面接受けてるみたいで。
■医者に止められ5、6年飲んでいない
お正月の話といえば、20年くらい前に、舞台でとおるが酔っぱらってね。母親が作ってくれた紋付き袴を着て、角座と新世界の舞台を掛け持ちで、3往復して計6回の舞台をやるんです。新世界に悪い落語家がいて、「とおるちゃん、飲み!」と戻るたびに飲ませ続けて。