コンピューター全盛でも感動させる音楽を作るのは“人間力”
僕は今の音楽を否定する気持ちは全くありません。言ってしまえばプロもアマチュアも使っているコンピューターにさほど違いはないんです。少しでもうまく使いこなせた人がプロになれる、みたいなことなんです。
さらに言うと、デスクトップミュージックはすべてコンピューターでできますが、コンピューターの性能以上のことはできません。つまりコンピューターを駆使したとしてもアプリケーションでできる範囲でしかない。でも、そこに人間が加われば、もっと自由な発想ができて音楽の発展性が生まれます。作家が思い描いた通りになるか、あるいは思い描いた以上のものになるか、そこは「人間力」です。わー! っと人を感動させる音楽を創れるかどうかは「人間力」にかかってくると思っています。
僕らはずっと人間同士が対面で音楽を作ってきました。譜面に書いてあっても、あえて口頭で「これはこんな感じでやってください」と伝えることで、劇的に音楽が変わったりするんです。僕の指示を受けて演奏してくれるスタジオミュージシャンの力で、音楽が発展することもある。そこがスパイスの効いたいい音楽になるかどうかの境目なんです。ですから、これは絶対に続けていかなくてはいけないと思うし、僕らがお手本を見せなきゃいけないと思っています。
クリスタルキングの「大都会」のような思いもよらない展開は、コンピューターの中だけではできないんですよ。 =つづく