田原俊彦<上>思い出の一曲「ハッとして!Good」誕生秘話
今回制作したCDボックス「船山基紀 サウンド・ストーリー」のブックレットに掲載する対談のため、田原俊彦さんに何十年かぶりに会いました。1980年にデビューして以来、トシちゃんはメチャクチャ忙しかったので、レコーディングで顔を合わせることはめったになかったんですよ。2枚目のシングル「ハッとして!Good」の時に、初めてジャニーズ事務所のメリー喜多川さんと一緒にスタジオに来ましてね、背筋を伸ばしておとなしく座っていたのを覚えています。まだ10代の礼儀正しい少年でしたよ。
当時、僕はグレン・ミラー楽団のようなサウンドをどこかで取り入れてみたいと思っていたんです。そんな時に「ハッとして!Good」のアレンジの話がきて、「この曲で、ぜひやってみたい!」と思ったんです。ビッグバンドのジャズのようなサウンドでOKが出るかどうか怖かったのですが、ピアノを弾いてくれた矢嶋マキが、ロックンロールな感じで弾きまくってくれた。おかげでジャズからポップスに変わったんですよ。「これはいけるかも!」って思いましたね。そこにブラスをかぶせたんですけど、ものの見事にハマりましてね。これはもう「してやったり!」でした。