自由劇場・東京乾電池・東京ヴォードヴィルショー…奇跡の顔合わせの舞台を演出する幸せ
いよいよ2日後の12日に私が演出する明治座公演「本日も休診」が初日を迎える。難産につぐ難産で、台本が出来上がったのは稽古初日の2日前。そこから3週間で、美術家、音楽家、衣装家、そしてその下で働くスタッフの急ピッチの仕事のおかげで、通し稽古までたどり着けたのはまるで夢のようだ。
そしてなによりキャストの皆さんの集中力と芝居を立ち上げるスピードの速さが凄かった。
この芝居では、自由劇場、東京乾電池、東京ヴォードヴィルショーという、私が青春時代に憧れた劇団のきら星のような小劇場スターの皆さまの奇跡のような共演が実現した。
柄本明、笹野高史、佐藤B作のお三方は自由劇場のほぼ同期、そこにベンガル、佐渡稔(当時は三木まうす)、魁三太郎という、乾電池、ヴォードヴィルのお仲間が。さらに松金よね子さんまでが揃うのは、まさに演劇同窓会。柄本さんの号令のもとに、おそらくこの年にならなければ実現しなかったであろう、今後ももうないかも知れない奇跡の顔合わせなのである。
原作は見川鯛山氏のエッセー。那須高原に住む山医者とその奥さん。そして奇妙な村人たちのお話だ。