三遊亭円丈師匠は寄席の未来を常に憂いていました
三遊亭円丈師匠がお亡くなりになりました。76歳で亡くなったという報道をみて計算すると、私が入門したときは円丈師匠51歳だったんですね。なんかその頃からいつも疲れてた様子のイメージがあります。ずっと落語と闘ってたので疲れてたんでしょう。新作派ではない私でさえ師匠のお客さんと闘う姿勢には少なからず影響を受けました。
「カッカッカッカッ掛布さん」のCMは子供の頃見てましたがこの世界に入ってからあれが円丈師匠であることを認識したぐらい落語オンチの私。そんな私でも寄席の前座で働きながら円丈師匠の異彩を放つ高座にはくぎ付けになりました。
高座前の師匠は客席の様子を何度も舞台袖からのぞき込み客層や雰囲気を観察します。落語がわかるお客かわからないお客かによってネタを変えるためです。そして高座から下りてくると基本不機嫌。ウケなくてもウケてても不機嫌。自分の笑いのセンスが寄席のお客さんに通じないストレスなのかお客のセンスに合わせてウケてるけどそのレベルが低いことへのストレスなのか。そして寄席の未来を常に憂いていました。20年前の寄席は年寄り中心でお客が少なく笑わないのが普通でしたから。